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ご挨拶

 弊社創業者苅草國光は、弱冠二十歳で学習塾(苅草学院)を始め、三十代で教材出版業(育伸社)を開始しました。昭和14年生まれでしたから、20歳というと昭和34年です。学生時代から塾を開業し、昭和49年、35歳で出版事業をスタートさせ、寝ずに働いた20代・30代を過ごしたそうです。働き過ぎで倒れることもしばしばだったようで、特に弊社を開業したころは、夕方まで育伸社、夕方から深夜まで苅草学院、という生活だったようです。まさに高度経済成長期の日本社会らしく、激しく前のめりに駆け抜けていました。一息ついた60歳手前の時に胃がんを発症しましたが、大手術を乗り越えて復帰しました。そこから「勁草学舎」を設立するなど、再び80歳まで精力的に働きました。その後、自宅療養をしながら、家族と共に過ごされ、家族全員に看取られて亡くなられました。2022年4月5日永眠、享年83歳でした。

 創業者苅草は、フランスのある詩人の「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」という一節を座右の銘にしておりました。数多くの子弟に熱く語り掛け、自らむさぼるように広い分野で学び続け、人としての道を説き、自分の背中を見せることによって後進の者を導くような生き方を実践してきました。学習塾という私教育分野で生き抜くことに情熱を傾け、そこに本当に求められている教材は何かを考えぬいて、時代時代に合わせた教材を開発し、提供することに多大なエネルギーをかけ続けました。会社の業態についても試行錯誤しながら、販売網を全国に拡大し、学習塾・学校の現場の声を直接聞き取れる体制を構築し、自社内に制作部隊を大きく構えました。こうした利用現場と制作現場をつなぐ回路の構築には大きな費用も掛かりますが、この体制は今もって大事に守られています。

 あらゆる企業は、生まれたときから膨大なエネルギーを発散しながら倒産への道をひた走っています。あるとき、いきなりぱたりと消滅しかねない契機を抱えた存在であり、継続的に負のエネルギーを大きくまとっている、といえます。大変化への大対応といった「戦時対応」だけではなく、「平時対応」がとても大事だといえます。弊社は、休日の取り方や働き方や従業員の福利厚生などは時代の流れに追い詰められて変えるのではなく、大企業などに先駆けていわば時代の先端を行くかのように変えてきました。経営トップである苅草が自ら旗を振って実現させてきたものが多く、そこには従業員の生活資源を常に重視する視点がありました。従業員を重視するという姿勢を徹底していれば、こうした多くの変化には対応しやすいのだ、ということを学ばせてもらいました。

 企業も勿論ですが、そこで働く者もまた時代の「変化」に対応しなければ存続できません。逆に言えば、対応すればよいのです。変化に対応できないのではなく、対応したくないからしていない、という事態を多くの者は自ら招いてしまっていることを、苅草は厳しく指摘していました。いってもわからない者には背中でみせてやればいい、と先行者・指導者層に対しては率先垂範の励行を求めました。弊社には OUR MOTTO 5箇条があります。その第一条には「変化に対応し、風通しの良い開かれた会社作り」と記されています。相互の批判に躊躇することなく、また、閉鎖的な思考や発言に陥ることなく、気持ちよく働ける職場をともに作ろう、そのためにも変化にきちんと対応していこうではないか、という思いが込められています。会社が持続し、発展していくためには、会社自体は勿論ですが、社員一人ひとりの変化への対応力が求められます。人罪となるな、人材は平凡すぎる、人財となれ、とよく言われましたが、苅草にとっては金を稼ぐ人が大事なのではなく、変化に積極的に向き合いながら、時代に伍してゆく者が人財なのでした。

 少子化が進行し、特に地方圏では過疎化が進み、大都市であっても地域によっては深刻な人口減少がおきています。地方圏での教育がますます取り残されていくことは避けなければなりません。しかし、その担い手が少なくなっています。私教育事業も市場競争の波にもまれます。こうした状況で弊社がどのような役割を果たしていけるのか。また、新たな技術の発展は従来の様式の商品を陳腐化させます。本質的な優位性を保つためにも新たな技術の取り込みは不可欠です。会社として打ち出していく製品やサービスが市場に受け入れられるためには、やはり学び続けるしかありません。更に、目まぐるしく変化する社会情勢に応じて、法律や制度があわただしく変遷しています。それらに追われて合わせていくのではなく、先行して内化させる取り組みも必要です。どのように時代が変化したとしても、弊社はそれらの変化に対応していかねばなりません。それが創業者苅草のもっとも望んだ会社としての在り方なのです。

 「変化に対応し、風通しの良い開かれた会社作り」。創業者のこの遺訓を胸に、具体的な変化への対応を通じて、常にアップデートしていく会社として、弊社は今後も皆様とともに歩んでまいります。

株式会社育伸社
代表取締役社長
石見広志

株式会社育伸社 代表取締役社長 石見広志